みんなが使っている名刺の紙のお話
〝紙〟と聞いて、どんな物を思い浮かべますか?
実は、この世に出回っている紙の銘柄は20万種類を超えるとも言われています。
では「名刺をこだわった物にしたい!」
そんな時、どんな紙があって、どんな紙を選べばいいのか?悩みますよね。
しかし、何かしらの印刷物を制作する時
印刷会社や、デザイナーの言われるがままに紙を決めたり
ネットプリントの取り扱い用紙の中から、なんとなく紙を選んでしまうと
「なんだか思っていた仕上がりと違うな…」という事態になりかねません。
まずは、一般的によく印刷物に使用されている紙を知って
思い通りの仕上がりに近づけていきましょう!
「一般紙」ってなに?良く使われている主な紙の種類
一般的に印刷によく使用される紙を〝一般紙〟と呼びます。
一般紙の中でも、さらに分類があり
・アート紙
・コート紙
・マットコート紙
・上質紙
など、上記の4種類は特によく使用される紙の種類です。
「どれもただの白い紙でしょ?」と思われるかもしれませんが
身の回りの名刺や雑誌、チラシをじっくり見てみると
どれも手触りや、印刷の光沢具合が違いませんか?
実はその違いは「紙の表面に塗られている、印刷の仕上がりを良くするためのコーティング剤」(以下:コーティング剤)の量や質の違いなのです。
このコーティング剤の量や質の違いは
・紙表面の平滑さ(手触り感)
・印刷の表現の美しさ
・印刷の発色の良さ
などの変化を与え、コーティングの量が多いほど、紙の表面が平滑で、印刷表現が綺麗だとされています。
一般紙を選ぶメリット・デメリット
一般紙の最大のメリットは「ごく一般に世間に出回っている紙」だということです。
よく世間に出回ってる紙のどこが良いかというと…
・価格を抑えられる
・印刷会社さんが印刷し慣れている>印刷仕上がりが比較的安定している
・手に入りやすい>品切れすることがない>品切れしても類似品がたくさんある
・紙の銘柄が廃判になりにくい>廃判になっても類似品がたくさんある
特に、〝類似品がある〟ということの意味は、実はとても大きいと思います。
なぜなら、「珍しい紙」というのは生産量も少なく、品切れ、廃判になりやすいからです。
例えば、すごく紙にこだわって、珍しい紙で名刺を作成したとしても
次に同じ名刺を作る時に、紙が品切れ・廃判になっていた・価格が高騰していた!…なんて可能性もゼロとは言い切れません。
しかし、残念ながら〝ありふれていて個性がないこと〟が最大のデメリットです。
いわゆる「普通の折込チラシ」「普通の商品カタログ」「普通のビジネス名刺」らしくなってしまうことは否めません。
紙の個性が無いことを逆手にとって、〝とにかく写真自体を綺麗に魅せる〟〝デザイン自体で思いっきり個性を出す〟ことをおすすめします!
一般紙の特徴について
一般紙は主に、アート紙、コート紙、マットコート紙、上質紙などの分類があるとお伝えしました。
では、それぞれの違いを見ていきましょう。
“一部引用:紙選びから始めるネット印刷「プリンパ」”
アート紙(スーパーアート紙)
用 途 | 美術書や、写真集などに使用されることが多い |
---|---|
質 感 | ツルツル系 |
価 格 | ★★☆☆☆ |
特 徴 |
紙の表面に塗られているコーティング剤の量が一番多く、色の再現性が非常に高い紙です。 |
印刷再現性 | ★★★★☆ |
こんな時におすすめ
・とにかく写真表現を良く見せたい
・派手、華やかな印象にしたい
こんな時は不向き
・写真は印刷しない
・印刷表現は重視していない
コート紙(グロスコート紙)
用 途 |
書籍、チラシ、ポスター、カレンダー、名刺など多岐に渡る |
---|---|
質 感 | ツルツル系 |
価 格 | ★☆☆☆☆ |
特 徴 |
アート紙よりコーティング剤の量は少なく印刷の再現度は落ちますが、十分に高い印刷表現ができる紙です。カラー印刷に使用される紙の中で、最もよく使用されています。 |
印刷再現性 | ★★★★★ |
こんな時におすすめ
・印刷は綺麗にしたいけど、価格を抑えたい
こんな時に不向き
・紙の手触り感で印象を与えたい
マットコート紙
用 途 |
書籍、チラシ、ポスター、カレンダー、名刺など多岐に渡る |
---|---|
質 感 | しっとり系 |
価 格 | ★☆☆☆☆ |
特 徴 |
光沢を抑えたコーティング剤が施されていて、手触りも印刷面もコート紙より落ち着いた印象になります。 |
印刷再現性 | ★★★★★ |
こんな時におすすめ
・落ち着いた印象にしたい、高級感を出したい
・指紋や傷を目立ちにくくしたい
・文字をしっかり読ませたい
こんな時に不向き
・印刷の発色を良くしたい
上質紙
用 途 |
書籍、チラシ、ポスター、カレンダー、名刺など多岐に渡る |
---|---|
質 感 | サラサラ系 |
価 格 | ★☆☆☆☆ |
特 徴 |
紙表面のコーティング剤が施されていないため、印刷仕上がりは沈んだ印象になります。しかし、紙そのものの質感をより感じられ、落ち着いた、ナチュラルな印象になります。 |
印刷再現性 | ★★★☆☆ |
こんな時におすすめ
・とにかく価格を抑えたい
・筆記したい、スタンプを押したい
・ナチュラルな印象にしたい
こんな時に不向き
・印刷表現、発色を良くしたい
紙の決め方
違いはわかったけど、どういう基準で選べばいいか分からない!という方に
前項でご紹介した主な特徴をまとめました。
印刷表現・発色
手触り
価格
一般紙の価格はどれも比較的安価、その中でも
筆記適正
伝えたい印象
アート紙・コート紙
…写真やデザインそのものを直接的に伝えたい
…派手で、華やかな印象にしたい
マットコート紙
…落ち着いた、高級感のある印象にしたい
上質紙
…落ち着いた、ナチュラルな印象にしたい
上記のことから
1:印刷表現はどこまで高くしたいか?
2:手触りはどんなものが好みか?
3:予算はどれくらいか?
4:筆記適正はあったほうがいいか?
5:その制作物を通して伝えたい印象はどんなか?
この5点を順番に決めていき、何を一番重視したいか?を取捨選択して行くと、思い通りの仕上がりに近づいていきます。
最後に:印刷が綺麗な紙=良い紙なのか?
よく「印刷が綺麗にできる紙が良い紙でしょ?」と思われがちです。
しかし名刺を制作するとして
あなたが写真家で、名刺に写真を掲載するのであれば、高い印刷表現ができる紙を選ぶ必要があるかもしれません。
しかし、シンプルにロゴマークだけを見せたい!
そんな時は、高い印刷表現が必要でしょうか?
中には、筆や水性ペンなどで書き込みがしにくい紙もあります。
印刷品質ばかり気にしたせいで、名刺の裏にメモスペースを入れたのはいいが鉛筆では書けなかった…なんてことにもなります。
私は「良い紙」とは「用途や、伝えたいイメージ、予算にピッタリと合う紙」のことをいうのだと思っています。
紙の上に乗る写真やデザイン、印刷技術も、もちろん大切ですが
それを、より活かしてくれるのが紙それぞれの個性です。
紙の個性を知って、ぜひあなたの目的にピッタリな紙を選んでください。
紙選びから始めるには
ネット印刷の「プリンパ」でまず紙のサンプル請求から始めてみてください。

ヤオヤの代表。ズルい名刺専門デザイナー。野菜は基本的にサプリメントで摂取するタイプです。
ヤオヤの代表。ズルい名刺専門デザイナー。野菜は基本的にサプリメントで摂取するタイプです。